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温泉街を見守る2色のお薬師さま

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やくしじ

薬師寺

山形県南陽市

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200年以上の樹齢となる杉木立を進んでいくと、鮮やかな朱塗りのお堂が威風堂々とした姿で参拝者を迎えます。そのような薬師寺の薬師堂には、「二色根」という地名の由来となった赤と青の2色からなる薬師如来がおまつりされています。お寺が開かれてから赤湯温泉に集うたくさんの人々を見守ってきた薬師寺には、様々な人々の願いが満ちあふれていました。
  • 薬師堂

巡りポイント

日本屈指の名湯、赤湯温泉。この地を1000年以上見守り続ける薬師寺は、いつの時代もたくさんの人々から愛されるお寺でした。広大な境内には、創建より現在に至るまで薬師寺に縁のある人々ゆかりの建物、お像、風景があります。それらを巡り、人々の思いをひもといていきましょう。

仁王門

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全長約3m、重さ約250kgにもなる巨大な大わらじ

薬師堂へと向かう階段の途中、にらみをきかせる仁王像が仁王門に安置されている。仁王像の前には、2021年3月に新調されたという大わらじがかけられている。全長約3m、総重量約250kgにもなる大わらじ。大わらじに触れると無病息災の御利益があるという。

感想■階段を登っていると見えてくる巨大なわらじ。人の背丈をゆうに超える大わらじのあまりの迫力に仰天しました。この大わらじに触れて無病息災を願いつつ、階段の先にある薬師堂へ。

薬師堂につながる杉並木

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小川家との200年の絆をものがたる

薬師堂へ続く階段の両脇にある杉木立。樹齢200年にもなる杉の大木群は、江戸時代、赤湯の地に居を構えた近江商人・小川平左衛門が寄進したもの。現在も小川家は薬師寺の檀信徒として交流は続いているそう。

感想■登っているときは必死で気がつきませんでしたが、ふと薬師堂から階段へ目を向けると、階段の両脇に杉の巨木が林立していることに気がつきました。杉を寄進した小川家との交流が200年以上続いていることに驚くとともに、檀家さんのお寺を守ろうとする気持ちが薬師寺の財産であると語るご住職のお話が強く印象に残っています。

本堂

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百花が咲き乱れるみほとけの空間

平成13年に落成された本堂正面には阿弥陀三尊像が、脇には伝教大師がおまつりされている。天井には色鮮やかな季節の花々の姿が描かれ、堂内が華やかに荘厳されている。また、同年に落成された法燈殿には地蔵菩薩像を中心に檀家のみなさんおご位牌がおまつりされている。

感想■まさに百花繚乱。天井一面に咲き誇る花々の美しさに心動かされました。光り輝くお像や仏具、色鮮やかな花々が織りなす荘厳な空間からは、病を治す聖地としての赤湯温泉の姿を垣間見た心地がしました。

薬師堂

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丹塗りの美しい堂舎と二色の薬師如来

薬師寺の開山は天安2年(858年)、慈覚大師によると伝わる。慈覚大師がこの地を訪れたとき、どこからともなく聞こえてきた鈴の音をたどったところ、二色の光を放つ巨大な霊木を発見。その光源である根元を掘ったところ、赤と青の石仏の薬師如来像が発見されたという逸話が残る。その石仏は現在も薬師堂におまつりされ、歴代のご住職が就任された時だけご住職の前に姿を現す。この逸話は薬師寺のある地名「二色根」の語源となっている。

感想■緑あふれる階段を登ると、突如目の前に丹塗りの鮮やかな薬師堂がそびえ立っています。観光客で賑わう赤湯温泉の雰囲気とはうってかわり、神聖な空気がたちこめていました。

お前立ちの薬師如来坐像(山形県指定文化財)と色鮮やかな脇侍のお像たち

  • お前立ちの薬師如来坐像(山形県指定文化財)と色鮮やかな脇侍のお像たち
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鎌倉時代に造立された麗しいお薬師さま

秘仏である2色の石仏・薬師如来像の前には、優美な眼差しをむける薬師如来坐像がおまつりされている。鎌倉時代に造立されたと考えられ、山形県の文化財に指定されている。右手は施無畏印、左手には薬壺をもつ。流れるような衣の表現が特徴的である。堂内右側には不動明王立像、左側には毘沙門天立像がおまつりされる。その周りを十二神将立像がかためる。いずれも江戸後期の作という。

感想■薬師堂に入ると、中央のお薬師さまのあまりの美しさに息をのみました。薬師堂に降り注ぐ日の光を反射してきらきらと光り輝くお姿は、あたかも目の前にお薬師さまが姿をあらわしたよう。赤湯温泉を見守り続けるその優しい眼差しを是非受け止めてください。

report

学生レポート

立命館大学生命科学部4年

薬師寺の境内に入ると、赤湯温泉の観光客で賑わう空気ががらりと変わったことが印象的でした。神聖な空気を形作る薬師寺境内の建物やお像だけでなく、杉木立や花が咲き乱れる庭園など、境内のすべてに檀家さんのお寺を守りたいという気持ちがこもっている、それが薬師寺の財産だというご住職のお話が心に深く残っています。

history

ご由緒

天安2年(858)に慈覚大師によって開山されたと伝える。薬師堂には、慈覚大師ゆかりの赤と青の2色からなる石仏がご本尊としてまつられ、お前立ちとして鎌倉時代に造立された薬師如来坐像が参拝者を迎える。薬師堂につながる杉木立は、江戸時代に当地に移住した商人の寄進により整備されたという。

info

参拝情報

名称
松林山薬師寺
(しょうりんざんやくしじ)
所在地
山形県南陽市二色根19
googleMAP
宗派
天台宗
御本尊
薬師如来
宝物殿
備考
紹介映像「山形県のお寺を巡る(立石寺:最初~、石行寺:8分49秒~、平泉寺:14分13秒~、薬師寺:16分11秒~)」
https://www.youtube.com/watch?v=a2_IJBg4n5Y