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文化財建造物が林立する「刀田(とた)のお太子さん」

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かくりんじ

鶴林寺

兵庫県加古川市

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「刀田(とた)のお太子さん」と地元の人々に言われる鶴林寺。聖徳太子と縁の深い鶴林寺の境内には、国宝をはじめとする文化財建造物が並び立っています。平安時代から江戸時代にわたるたくさんの文化財には、聖徳太子やご本尊へ願った人々の姿がありました。たくさんの文化財が織りなす信仰の世界へ足を進め、鶴林寺の歴史をひもといていきましょう。

巡りポイント

「刀田(とた)のお太子さん」と呼ばれる鶴林寺には、国宝2件、国指定重要文化財18件、兵庫県指定文化財12件にものぼる貴重な文化財が守り伝えられています。聖徳太子信仰の中心地として多くの人々の拠所である鶴林寺の境内を巡りましょう。

本堂(国宝)と御本尊・薬師三尊像(国指定重要文化財)

  • 本堂(国宝)と御本尊・薬師三尊像(国指定重要文化財)
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3つの建築様式が調和する雄大な建築と秘仏のご本尊・薬師三尊

鶴林寺の本堂は和様・大仏様(天竺様)・禅宗様(唐様)の3つの建築様式が組み合わさった折衷様の代表的建築として国宝に指定されている。桁行7間、梁間6間、本瓦葺きの雄大な建築で、内陣の宮殿(くうでん・お厨子のこと)の棟札に応永4年(1397)銘があることからその時期の建物とされる。国宝本堂の内陣の宮殿内には、平安時代に造立されたとされる薬師三尊像が安置されている。その脇には同じく平安時代に造立された持国天・多聞天の二天王立像が守りを固めている。宮殿の扉が開くのは60年に1度。前回のご開帳の際、初めての本格的な調査をし、すぐに国指定重要文化財となった。なお、内陣の板戸には鶴や水鳥の絵が描かれているが、板戸に描かれた絵としては日本最古であるという。

感想■3つの建築様式を破たん無く調和してまとめている当時の大工の方々の技量に圧倒されました。力強く反る大屋根も見事で、屋根に葺かれている瓦の色が異なるのは、制作された時代が異なっているだからだそう。60年に一度にご開帳されるご本尊。ご開帳されたときに撮影されたお姿は神々しいとともに優しげなお顔をしておられました。ご住職によると、60年に1度のご開帳には、海に近い立地のために強い潮風や光を避けるという意味合いも考えられているそう。ご開帳の裏に隠れたご本尊を守ろうとする人々の気持ちに心が動きました。

太子堂(国宝)

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兵庫県最古の建築、優美な檜皮葺の屋根に注目

天永3年(1112年)と旧屋根板に墨書が残り、そのときの建物と考えられている。元々は法華堂と呼ばれていたが、聖徳太子信仰の隆盛により、東側の壁面に描かれた聖徳太子像への信仰が高まり、太子堂と呼ばれるようになった。内部には平安時代に描かれた極彩色の壁画が残り、宝物館内に復元されている。

感想■屋根の反りが雄大な本堂とは対照的に、檜皮葺の優美な屋根の曲線が魅力的です。現在の太子堂内部は、長年の煤により真っ黒ですが、赤外線カメラで撮影すると平安時代に描かれた極彩色の壁画が姿を現すそうです。宝物館の内部に再現された太子堂内部の空間は、まさに仏の世界が表現された色鮮やかな美しい空間でした。

常行堂(国指定重要文化財)

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床下に眠る頭蓋骨

太子堂と同様に平安時代に建立されたという常行堂。もともと法華堂と呼ばれた太子堂と同規模の建物である。法華堂と常行堂を同じ規模で並列して建立する様式は天台宗特有の様式で、現存している例は少ない。昭和14年に解体修理が行われた際、床下から約30体の頭蓋骨が発見されたという。一説には戦国時代、羽柴秀吉軍との戦のときの犠牲者の遺骨とされる。

感想■同じ規模の建築が本堂を中心に並び立つ様子は、均整が取れており、存在感がありました。また、床下に頭蓋骨が今もなお眠っているというお話を聞き、戦乱を乗り越えてきた鶴林寺の歴史を改めて思い知らされました。

新薬師堂

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いつでもお会いできるお薬師さま

60年に1度ご開帳される本堂のご本尊。ご本尊の代わりに常にお姿を拝めるお薬師さまをと、延宝6年(1678)、大坂の医師であった津田三碩により新薬師堂と仏像が寄進された。このお堂と仏像は他所から移されてきたと考えられている。近年、ウインクをしているようなお姿である摩虎羅大将立像が人気を集めている。

感想■お堂と仏像を寄進された津田三碩の心意気に感動しました。また、お薬師さまの脇を固めるユーモラスな十二神将立像の表情は、お堂の寄進に尽力された人々のお顔を見ているような心地がしました。

宝物館

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鶴林寺に伝わる貴重な宝物類が展示される

平成24年(2012)に太子堂創建900年を記念して開館した。館内には太子堂須弥壇の再現空間や鶴林寺に伝わる仏像、絵画などの貴重な文化財が展示される。「あいたたの観音様」と呼ばれる兵庫県最古の白鳳時代につくられた金銅仏や本物の髪の毛が植え付けられている鎌倉~室町時代造立の聖徳太子立像(平時非公開)を納める髹漆厨子が展示されている。

感想■宝物館に展示されている文化財のほとんどが、国指定重要文化財や兵庫県指定文化財。鶴林寺の歴史や文化の厚みを体感しました。1000年以上も前に造立されたお像の1躯1躯に迫力がありました。

report

学生レポート

立命館大学生命科学研究科1年

境内に入ると見渡す限り、国宝や重要文化財の建築が林立することに驚きました。市街地にありながら1000年ちかく前に建立された建物やそれよりも更に古いお像が伝えられ、歴代のご住職や地域の人々がいかに鶴林寺を守ろうと尽力してきたか、強く心を揺さぶられました。

history

ご由緒

鶴林寺縁起には、蘇我氏と物部氏の争いから逃れていた高麗(こま)の僧・恵便法師のために聖徳太子が秦河勝に命じて、崇峻天皇2年(589)この地に3間4面の堂舎を建立させたことに鶴林寺の歴史がはじまると記されている。その後、養老2年(718年)に七堂伽藍が整備され、天永3年(1112)に寺号が「鶴林寺」に改称された。中世に最盛期を迎え、寺坊は30坊以上、寺領2万5千石にもなったという。

info

参拝情報

名称
刀田山鶴林寺
(とたさんかくりんじ)
所在地
兵庫県加古川市加古川町北在家424
googleMAP
参拝時間
年中無休 開:9:00~16:30 閉:17:00
拝観料
入山料@500円 (中学生以上) 小学生以下は無料、中学生はココロンカードか生徒手帳の提示で@100円。
宝物館拝観料(希望者のみ)@500円(中学生以上) 小学生は無料。ココロンカードか生徒手帳の提示で中学生は入館無料。
(入山料と宝物館拝観料はセット券で800円。加古川市民の提示で700円。)
宗派
天台宗
御本尊
薬師如来
宝物殿
宝物館あり
アクセス
《電車・バス》
JR 「加古川」 駅より かこバス8分、徒歩15分。山陽電鉄 「尾上の松」 より徒歩15分
《車》
加古川バイパス 加古川ランプから10分。山陽自動車道 三木小野インターから30分。
※詳しくは鶴林寺ホームページ参照
駐車場
乗用車約30台鶴林寺公園駐車場。 大型バス可。※詳しくは鶴林寺ホームページ参照
Webサイト
https://www.kakurinji.or.jp/
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