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生きる 祈りの寺

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ちょうじゅじ

長寿寺

滋賀県湖南市

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湖南三山の一つに数えられる長寿寺には、人々の祈りの空間がどのように変化してきたのかを私たちに教えてくれる貴重な文化財である、鎌倉時代初期に建てられた国宝本堂があります。 地域の人々によって運営される「鬼走り」などの行事も残されており、古くからの祈りがそのまま生きています。国宝寺院でありながら、いまはなくなりつつある古き良きお寺の姿を今に伝えています。
  • 国宝本堂
  • 鬼走りのクライマックス
  • 紅葉の参道

巡りポイント

長寿寺の第一の見どころは国宝に指定されている本堂です。本堂内には御本尊のほか、重要文化財に指定されている仏像も安置されています。 本堂のお参りの後は、重要文化財の弁天堂、収蔵庫、三重塔跡など歴史を感じられる境内を巡ってみましょう。130mの参道両側に茂る約100本のモミジは、春には新緑の、秋には紅葉のトンネルとなります。参道には可愛い置物、庫裏には切り絵や鏡床を設置するなど参拝者が楽しめる工夫が随所に見られます。

本堂(国宝)

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平安から鎌倉へ、建築様式の変化の痕跡が残る

本堂は鎌倉時代初期の建築で、国宝に指定されている。仏を祀る空間である正堂(仏像を安置するお堂)と礼堂(人々がお参りするお堂)の二つの建物が、一つの大きな屋根で覆われている双堂と呼ばれる形式が貴重。再建の際に平安時代のお堂と近い姿での再建が目指されたため、平安時代の建築様式と鎌倉時代の建築様式が入り混じっている。
感想■平安時代ごろまでの寺院は、仏様がいる建物と、人々が祈りを捧げる建物は別々に作られていたそうです。それが次第に一体化していく変化の過程にあるのがこのお堂で、隣り合う二つの建物を一つの屋根で覆ったような形になっているのが面白いです。

御本尊・子安地蔵尊

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    ご本尊の姿を描いた懸仏。
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行基が聖武天皇のために作ったお地蔵さん

長寿寺の御本尊は行基作と伝わる子安地蔵尊である。 行基は聖武天皇の娘である安倍内親王(のちの孝謙天皇)の健康長寿のためにこの地蔵を刻んだと伝わる。

本尊は秘仏とされ50年に一度のご開帳。

感想■子安地蔵は秘仏としてお厨子の中に収められていましたが、お寺の由来の長寿寺も、孝謙天皇の「長寿」を祈ったことに由来するそうで、長寿寺にとってとても大切な仏様だということが伝わってきました。 いつか機会があればお姿を拝してみたいです。

3体の如来像(国指定重要文化財)

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平安時代から残る如来像

本堂内には平安時代後期の作とされる重要文化財の釈迦如来像と阿弥陀如来像が祀られています。 阿弥陀如来像の蓮台や光背は平安時代のものを残しているのが珍しいとされています。 収蔵庫にも重要文化財の阿弥陀如来像があり、平安時代の丈六像です。
感想■建物は鎌倉時代以降のものが多い長寿寺ですが、仏像は平安時代のものが多く残されていることに驚きました。信仰の中心となる仏像を守り続けようとした先人たちの努力が伝わってくるようです。

弁天堂(国指定重要文化財)

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焼き討ち以前の姿を伝える貴重な遺構

池の中央にある弁天堂は室町時代の建築で重要文化財に指定されている。 信長の焼き討ち以前の姿を伝える貴重な遺構である。
感想■小さなお堂ではありますが、本堂とともに織田信長の焼き討ち以前の長寿寺の姿を残していることに感動しました。

地蔵曼荼羅

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人々の願いがこもった1万2千のお地蔵さん

室町時代に作られたとされる曼荼羅。六つの腕を持つ中央の地蔵菩薩の周囲に、約1万2千体の小さなお地蔵様が描かれている。六臂の地蔵菩薩を描いた仏画はこの一作のみであり非常に珍しい。

庫裏に隣接する内仏堂には、地蔵曼荼羅を陶板で複製した「陶板地蔵曼荼羅」をおまつりしている。曼荼羅を立体で表現し、目の不自由な方にも触れることで曼荼羅を感じていただけるようにしている。お参りの際にはぜひ触れていただきお地蔵さまとご縁を結んでいただきたい。

 

感想■一万以上のお地蔵さんがひとつひとつ丁寧に描かれていることに驚きました。 お地蔵さんの数は、祈りの強さの表れのようにも感じられました。

report

学生レポート

京都大学大学院文学研究科修士1年

湖南地域を代表する寺院のひとつ、長寿寺では、国宝の本堂が印象に残りました。それまでは離れていた仏さまを祀る空間と人々が祈りを捧げる空間とが一つになっていく過程を学ぶことができるお堂だったか等です。仏教が人々の生活に根ざしていく様子を目で見て学んだことで、当時の人々の信仰というものがリアルに感じられました。
今なお地域の人々によって主体的に行われる行事が残る長寿寺は、人々の拠り所となるような素敵なお寺でした。(2022年4月9日)

history

ご由緒

聖武天皇が世継誕生を祈願し、良弁が阿星山に籠って祈願したところ、皇女が誕生した。これによって聖武天皇は阿星山の麓に寺を造営し、地蔵菩薩(子安地蔵)を安置。 皇女の長寿を願い「長寿寺」とした。鎌倉時代には源頼朝の祈願所となったとされる。 天正年間に織田信長公により三重塔は安土城に移築されるが、鎌倉初期の建造物である本堂は残り国宝となっている。

info

参拝情報

名称
阿星山長寿寺
(あしょうざんちょうじゅじ)
所在地
滋賀県湖南市東寺5-1-11
googleMAP
参拝時間
9:00~16:00
参拝料金
大人:600円
中高生:300円
小学生以下:無料(保護者同伴のみ)
宗派
天台宗
御本尊
子安地蔵菩薩
宝物殿等
収蔵庫
アクセス
JR草津線「石部駅」からバスで15分
駐車場
有(普通車20台、大型車1台)
Webサイト
https://chojyuji.jp/
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