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ぜんすいじ
善水寺
滋賀県湖南市
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湖南三山の一つ、善水寺は奈良時代に創建され、平安初期に伝教大師最澄によって復興されたとされています。1000年前の元三大師良源の時代には、延暦寺根本中堂を模して作ったのではないかとされる多くの仏像が作られるなど、特に比叡山延暦寺とゆかりの深い寺院となりました。南北朝時代には現在の本堂が再建されました
巡りポイント
比叡山延暦寺と関係の深い善水寺の見どころは、600年以上前に建てられた国宝本堂とそこに安置される平安時代の仏像群です。平安時代の延暦寺根本中堂を模したものであるとされる仏像群を通して、1000年前の祈りの空間に触れてみましょう。
本堂(国宝)
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650年前から残る祈りの空間
南北朝時代に建立された本堂は、桁行七間、梁間五間の天台密教仏堂で、国宝に指定されている。
正面に向拝を持たないことが特徴であり、そのために美しい屋根の曲線が際立っているとされる。
感想■本堂は境内に堂々とした存在感を持って立っていました。650年以上もの間、堂内の祈りの空間を守り続けてくれたお堂に感謝の気持ちも湧き上がってきました。
檜皮葺の屋根は隣にある庭園と調和していて美しかったです。
本堂の仏像群(国指定重要文化財)
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延暦寺根本中堂のバックアップとしての役割があるお像
秘仏の御本尊、薬師如来坐像は平安時代の正暦四年(993)作で、仏舎利を模した籾が像内に収められている。
御本尊のお厨子の両脇には、同時代の作とされる四天王と梵天・帝釈天が祀られ、「六天様式」をとっている。
これらの仏像群は平安時代中頃の延暦寺根本中堂に祀られていた諸仏を模した可能性があり、当寺の根本中堂の様子を窺い知ることのできる貴重な文化財である。
感想■現在は失われてしまった平安時代の延暦寺根本中堂の空間が残されていることに感動しました。延暦寺が燃えてしまったときのバックアップ的な側面もあったそうで、信仰空間を守ろうとする当時の人々の懸命な努力も感じられました。
本堂後陣の客仏
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祈りの歴史を伝える魅力的な仏たち
本堂の後ろ側(後陣)にも多くの仏像が安置される。
御本尊の真裏に安置される不動明王坐像は平安時代の作で滋賀県下最古の不動明王像。
僧形文殊菩薩坐像は内陣の四天王・梵天帝釈天と同様に根本中堂のお像を模したものと考えられている。
感想■後陣にお祀りされている仏像の数々からは、かつての善水寺にはたくさんのお堂があって、たくさんの人々が祈りを捧げてきた歴史を感じられました。
本堂外陣の仁王像(国指定重要文化財)
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平安時代から善水寺を見守る仁王尊
平安時代に作られたお像で、重要文化財の指定されている。
仁王像としては滋賀県では唯一、全国に四つしかない平安時代の作として貴重である。
感想■1000年もの間善水寺を守ってきたのであろう仁王さん。本堂の内陣の仏様を守るように堂々とした佇まいで立っていらっしゃいました。
寺伝によれば、元明天皇が奈良時代初期の和銅年間に、国家鎮護の道場として創建した和銅寺が前身であるとされる。
平安時代初期の延暦年間、桓武天皇の病平癒のために、最澄が当寺で祈願し香水を献上したところ病が治ったため、善水寺と号し、延暦寺別院となった。
元亀二年(1571)の織田信長による比叡山焼き討ちの際には善水寺も攻撃を受けるも、本堂や仁王門は焼失をまぬがれた。
しかしながら僧侶は排除されてしまい、その後約100年間、無住となる。
1670年に再び住職が就任し、再興される。