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山の上から様々な歴史をみつめてきた近江最古の寺院

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ひゃくさいじ

百済寺

滋賀県東近江市

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湖東三山の一つである百済寺は、推古十四年(606)に聖徳太子の勅願により創建された近江最古の寺院です。焼き討ちの被害に遭いながらも、奈良時代の十一面観音菩薩立像を伝えています。境内を廻ることで、興隆を感じることができ、百済寺の歩んできた歴史の積み重ねを感じることができます。  秋は紅葉の名所として知られており、11月中旬から下旬がピークとなります。境内地には3000本の紅葉が有り、状態良く保存されている中世から近世の遺構とのバランスは非常に美しいです。また、庭園の展望台からは湖東平野だけでなく比叡山を眺望することもできます。

巡りポイント

百済寺は1400年以上の長い歴史の間、さまざまな歴史や出来事に積み重ねながら、山の上から地域を見つめ見守り続けていた寺院です。長い間守られてきた文化財や百済寺の歴史の痕跡が残ります。境内を巡り、積み重ねてきた歴史の息吹を感じてみましょう。多くは寛永年間に復興された塔頭寺院の遺構だありますが、中には織田信長の焼き討ち以前の状態が保存されている箇所もあります。

十一面観音菩薩立像(秘仏・国指定重要文化財)

聖徳太子が彫った植木観音という伝承を持つ奈良時代木彫像

約250㎝の大きな像で、カヤの大木から彫出した奈良時代の像である。『日本霊異記』内に十一面観音を木彫で造る僧侶の話が収録されている。この像もそのような僧侶による造像である可能性が想像されている。 瑞光を放つ立木の杉の木を、聖徳太子が一刀彫で彫られた伝説があり、別名「植木観」」とも称される。信長の焼き討ちの際に急いで8キロほど離れた奥之院へ運び逃がしたため、今でもかかとに擦れの跡が残る。

感想■令和4年の重要文化財に指定された際に行われた特別参拝で初めて拝観し、奈良時代の木彫の十一面観音菩薩立像が、現在にまで残されていることに驚きました。素朴で親しみやすさも感じられ、一木であることを重視した造形でさまざまな祈りが込められて造像されたことが伺えるようでした。 この像は百済寺というさまざまな災害に巻き込まれながらも、この百済寺という地で守り残されており、この像が長い年月、多くの人々に愛された像であったのだと感じられました。
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本堂(国指定重要文化財)

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井伊家の支援により再建された江戸時代建築

寛永年間の再建で、譜代大名の筆頭である井伊家の支援を受け、滋賀県出身の甲良豊後守という日光東照宮などに携わった棟梁によって造られた。織田信長の焼き討ち以前は、現在の本堂より大きなお堂が別の場所にあったのですが、再建の際に今の場所に移られた。本堂は中世から近世へと変わる転換期の姿を示し、中世以前の外陣と内陣の区別があり、拝観者と僧侶の空間をはっきりと分けられている。

感想■山の中腹にある本堂で、狭いところに建っているからか大きく感じさせるお堂であるように感じました。五間のお堂は正面軒唐破風を付けながらも華美ではなく、全体としては落ち着いた印象受け、バランスの良さを感じるお堂でした。

神馬図絵馬(東近江市指定文化財)

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五穀豊穣を願う雨乞いと晴れ乞いの絵馬

農作物の五穀豊穣を願うために、焼き討ちの後の天正十七年六月に寄進された絵馬である。白の絵馬は晴れを願うときに使われ、黒の絵馬は雨を願うときに使われた。真夜中この馬が暴れ出して困るため、絵に縄の絵を描き加えたところおとなしくなったという逸話も残る。

感想■どちらの絵描かれている馬が今にも動き出しそうな躍動的に表現されていました。この勢いのある表現や暴れ出したという伝承から、多くの人々にとって暴れ出すほどの強い力というものを欲するとともに、それを叶えることができるとされてきた百済寺の厚い信仰を感じることができました。

聖観音坐像・如意輪観音坐像(東近江市指定文化財)

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焼き討ちから逃れた「院派の銘作」

院派という仏師集団の「院祐」によって、明応八年(1499)8月27日に造られた造像銘と寛政二年の修理銘がある像である。信長による焼き討ちから逃れた像である。素地に金箔を施した像で、面貌の表現は、目が細く凛々しい。

感想■体の表現はゆったりとしている中で、顔の表現が凛々しく、青年のような若々しい力強さを感じる音ができました。近くで見ると体に截金の繊細な表現が施されていて、きれいでした。

report

学生レポート

奈良大学文学部文化財学科4年

百済寺は創建以降信長の焼き討ち等に被害に遭い、全山焼失ということになりながらも復興が繰り返されていることにより現在に至っていることを知りました。現在もご本尊様の修復が行われている最中であり、本堂の方も修復を行っていきたいとのことを伺いました。このような信仰の場というものが残っているのには、厚く信仰したくなる空間や時を生み出していたために多くの人々が残したいと願い、その努力が積み重なっているために残っているのだと感じました。本堂や境内を案内していただいている中で、自然の空間に包まれ心が穏やかになるように思いました。このような場が守り伝えられているからこそ、信仰が現代にまで伝わっているとともに、後世にも繋がっていくのだと思いました。(2023年7月29日)

history

ご由緒

西暦606年の推古天皇の治世に聖徳太子により建立されたと伝わります。百済寺が反映するのは鎌倉期から室期期のことで、湖東の小比叡山知呼ばれ300あまりの寺院が存在する大きなお寺でした。織田信長の焼き討ちに遭うなど、何回もも受難を受けてきておりますが、寛永年間に復興されその法灯1400年間以上維持されています。

info

参拝情報

名称
釈迦山 百済寺
(しゃかざん ひゃくさいじ)
所在地
滋賀県東近江市百済寺町323
googleMAP
参拝時間
8時30分〜17時(受付は16時30分まで)
拝観料
【大人】600円
【中学生】300円
【小学生】200円
【障がい者】500円
宗派
天台宗
御本尊
十一面観世音菩薩
宝物殿
寺宝の拝観につきましては事前にご予約ください。
アクセス
JR能登川駅 路線バス
近江鉄道八日市駅 路線バス
名神高速バス百済寺下車 徒歩20分
駐車場
大型バス10台
Webサイト
http://www.hyakusaiji.jp/
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備考
当山は国の史跡に指定されており当時の状況を確認できる遺跡だけでなく、支線と調和した境内地の保全に努めています。紅葉だけでなく、四季おりおりの景色を楽しむことが出来ると思いますので、皆様のご来寺をお待ちしております。

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